ツボとは?経穴とは?それぞれの意味と違い、からだに効くしくみを解説

こんにちは、東京・日本橋にある鍼灸治療室クリスタ 院長のかとうようこです。

 患者さんから、こんな質問をいただきました。

「先生、ツボと経穴って同じですか?
なんかだまぎらわしいです」

実は、「ツボ」と「経穴(けいけつ)」は、一般的には同じものを指します。
ただ、東洋医学の視点で厳密に言えば、以下のように区別されるものです。

経穴・東洋医学で、「経絡(けいらく)=エネルギーの通り道」上にあり、
 エネルギーが注がれる場所を指す用語
・全身に361穴ある
ツボ・「経穴」以外にも、押すことで何らかの効果を期待できるポイント
 =「奇穴(きけつ)」「阿是穴(あぜけつ)」を含む
・東洋医学の正式な用語ではない

つまり、経穴は東洋医学的に体系化された治療のポイントであり正式な用語である、一方のツボはもっと幅広く「効くポイント」をさすが東洋医学の用語ではない、と考えればいいでしょう。

そこで今日はあらためて、「経穴とツボ」についてわかりやすくお話します。

◎「経穴」と「ツボ」の違いとは
◎「経穴」「ツボ」が効くしくみ

これを読めば、経穴とツボについてよく理解できるでしょう。
この記事で、ぜひ東洋医学への理解を深め、不安なく来院してください!

1.「経穴」と「ツボ」の違いとは?

 

 

前述したように、「経穴(けいけつ)」と「ツボ」は一般的には同じものとして扱われますが、厳密には意味が異なります。

そこでまず、それぞれの意味と違いについて説明しましょう。

 

1-1.「経穴」とは?

 

「経穴(けいけつ)」とは、からだの中に「気=エネルギー」と「血=血液」をめぐらせている「経絡(けいらく)」上にある特定のポイントのことです。

ここを刺激することで、経絡を流れる「気血(きけつ)」の流れを整え、からだの不調を改善するとされています。

【経絡のひとつ(手の太陰肺経)とその上にある経穴】

 

もう少しくわしく説明しましょう。

東洋医学では、人間のからだには「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3要素がめぐっていると考えられています。
「気」はエネルギー、「血」は血液とそれによって運ばれる栄養分、「水」は「血」以外の体液です。

 

 

このうち「気」と「血」=「気血」は、からだの中を走る「経絡」というエネルギーの通り道のようなものを通ってめぐり、からだ全体に栄養を行き渡らせていると考えられています。
経絡はからだの中に14本走っていて、その通り道上にたくさんの「経穴」があるわけです。

WHO(世界保健機構)の定義では、全身の経穴の数は361穴り、特に、

・筋と筋の間
・筋と腱の間
・筋と骨の間
・関節の膨らんでいる部分

に多く存在するとされています。

そして経穴は、からだの内や外に異常があるときに反応が現れるという特徴をもっています。
つまり、経穴に刺激をあたえることで、異常がある部位の診断や治療ができるのです。

たとえば、「ツボを押すと痛い」のは、その経穴が関係するからだの部位に異常があるということなので、その経穴に鍼灸などをほどこすことで、異常の改善を目指します。
これが東洋医学の鍼灸治療の基本です。

このような、経絡・経穴の関係を利用した診断・治療システムは、書物に残されているだけでも2000年ほどの歴史があるものです。
そして現代では、前述したようにWHOもこの鍼灸や漢方を「医学」として正式に認めています。

<参考記事>

漢方薬や鍼灸など「伝統医療」WHOが認定へ 日本の漢方、地位向上へ

漢方新時代の幕開け! WHO の分類に「東洋医学」が導入された理由

経絡・経穴や鍼灸治療は、「民間療法」という解釈をされがちですが、世界的にも医療的効果が正しく認められている医療のひとつなのです。

 

1-2.「ツボ」とは?

 

「経穴」とは何か、よくわかったかと思います。
では、「ツボ」とは何でしょうか?
経穴との違いはどこにあるのでしょう?

前述したように、一般的には「ツボ」は「経穴」と同じ意味で使われる言葉です。
ですが、東洋医学では異なる意味を持っています。

「ツボ」は、「経穴」に加えて「奇穴(きけつ)」「阿是穴(あぜけつ)」という、経絡上ではないからだの別の場所にあるポイントも含んでいます。

 

◎奇穴

経絡上ではない場所にあるが、経穴と同様にからだの特定の部位の不調や疾患を診断・治療できるポイント。
「特効穴(とっこうけつ)」とも呼ばれる。
WHOでも48穴が奇穴として認められているが、東洋医学的にはさらに多くの奇穴を診断・治療に用いている。

◎阿是穴

押すと痛みや気持ちよさを感じるからだの表面上のポイント。
場所が特定されている経穴や奇穴と異なり、不特定の場所で、名称も特に決まっていない。

たとえば、不眠の改善に用いられる足の裏のツボ「失眠(しつみん)」や、頭痛、鼻詰まり、眼精疲労などに効果的と言われる眉間のツボ「印堂(いんどう)」などはよく知られた奇穴です。

 

 

1-3.経穴とツボの違い

 

つまり、「経穴」と「ツボ」の違いとは、

・「経穴」は東洋医学でも西洋医学(WHO)でも正式に認められた診断・治療のポイントであり、その場所と名称が定まっている
・「ツボ」は経穴を含むが、他にも「奇穴」「阿是穴」を含んだより広い概念で、中には阿是穴のように場所も名称も特に決まっていないものもある

とまとめることができます。

ただ、鍼灸治療においては、経穴だけでなく奇穴や阿是穴にも施術することがあります。
また、みなさんがおうちでセルフケアする際には、自分が「押すと痛い or 気持ちいい」と感じるポイント、つまり「阿是穴」をツボ押ししたり、市販のお灸をすえたりするのもいいでしょう。

 

2.「経穴」「ツボ」が効くしくみ

 

 

ところで、「経穴」と「ツボ」の違いはわかりましたが、それがなぜからだの不調や病気に効くのでしょうか?
東洋医学の治療を受けるにあたって、そのしくみを知りたいという人も多いと思いますので、それについてもわかりやすく説明しておきましょう。

 

2-1.東洋医学的な「経穴」「ツボ」のしくみ

 

東洋医学では、からだを動かすエネルギーである「気(き)」と、からだ中に栄養を運ぶ「血(けつ)」が、体内の「経絡(けいらく)」という通り道をめぐっていると考えます。
「経穴」はその経絡上にあって、気血の流れを調整する役割を担っています。

そのため、もし気血が滞ってからだに不調が出た場合は、その部位に対応している経穴に「鍼灸」の施術や「ツボ押し」で刺激を与えることで、気血のめぐりを整え、不調を改善することができるというのが東洋医学の考え方です。

 

2-2.西洋医学的な「経穴」「ツボ」のしくみ

 

一方西洋医学でも、近年は「なぜツボが効くのか」の解明が進んでいて、現在のところ、以下のように考えられています。

経穴は、前述したように

・筋と筋の間
・筋と腱の間
・筋と骨の間
・関節の膨らんでいる部分

にあります。

これらの場所には、神経や血管が集まっているため、刺激を与えるとそれが脊髄を通って脳に伝わります。
その結果、以下のような効果が期待できるのです。

●自律神経を整える

過労やストレスで交感神経が過剰に働くと、筋肉が緊張して血流も悪化。
鍼はこの過剰反応を抑えて、自律神経のバランスを整えます。

●血流を改善する

鍼の刺激で血管が広がり、血液の流れがスムーズに。(「軸索反射(じくさくはんしゃ)」と呼ばれます。)
細胞に酸素や栄養がしっかり届き、痛みや違和感の改善につながります。

●痛みを和らげる

鍼をすると「エンドルフィン」などの快楽物質が分泌。
これが自然な鎮痛作用となり、心地よさも得られます。

 ※ この鍼のはたらきについては、また別の記事でくわしくお伝えしたいと思いますので、しばらくお待ちください。

 

いずれにしろこのように、西洋医学においても経穴やツボの有効性は認められています。

近年では西洋医学と東洋医学を組み合わせ、場合によってはアーユルベーダやホメオパシーなどの伝統療法、代替医療なども取り入れた「統合医療」に取り組む病院も出てきました。
今後はますます経穴・ツボへの医学的な研究と理解が深まり、より広く施術が行われるようになることが期待されます。

 

まとめ

 

いかがでしたか?
「経穴」と「ツボ」の違い、それぞれどんなものなのかがよくわかったのではないでしょうか。
ではあらためて、要点をまとめておきます。

◎経穴とツボの違いは以下の通り

経穴・東洋医学で、「経絡(けいらく)=エネルギーの通り道」上にあり、
 エネルギーが注がれる場所を指す用語
・全身に361穴ある
ツボ・「経穴」以外にも、押すことで何らかの効果を期待できるポイント
 =「奇穴(きけつ)」「阿是穴(あぜけつ)」を含む
・東洋医学の正式な用語ではない

◎経穴・ツボが効くしくみは、

・東洋医学:気血の通り道=経絡上にある経穴を刺激することで、気血のめぐりを整えることができる
・西洋医学:経穴・ツボには神経や血管が集まっているため、刺激を与えるとそれが脊髄を通って脳に伝わり、自律神経を整えるよう指令が出て、不調な部位のはたらきが整えられる

これらのことがわかれば、からだに不調が出た際にも不安なく鍼灸治療を受けられますし、自分で手軽にツボ押しすることもできるでしょう。
この記事で、あなたがより健康になれるよう願っています。