こんにちは、東京日本橋にある鍼灸治療室クリスタ 院長のかとうようこです。
みなさん、好きな野菜は何ですか?
野菜や花の種・苗をはじめ、園芸用品などを扱っているタキイ種苗株式会社が実施した『2026年度 野菜に関する調査』によると、「大人が最も好きな野菜」の1位に選ばれたのは「トマト」だったそうです。
▶ 出典:タキイ種苗『2026年度 野菜に関する調査』
特に女性は、パスタなどのトマト料理が大好きという人も多いでしょう。
ただ、一方で、
「トマトって、からだを冷やすと聞いたけれど、女性が好んで食べても大丈夫?」
と、疑問や不安を感じている方も多いようです。
結論から言えば、たしかにトマトは東洋医学において、からだの熱を冷ます食材とされています。
だからといって、「冷え性の人はトマトを控えたほうがいい」わけではないので、安心してください。
というのも、「薬膳」の考え方では、食材一つひとつの効能だけに注目するのではなく、料理全体のバランスを考えるものだからです。
トマトの場合は、からだをあたためる食材と組み合わせれば、冷やす作用を気にする必要はありません。
むしろ、トマトにはからだを潤す作用や、胃腸のはたらきを整える作用がありますので、乾燥しがちなとき、食欲が出ないときなどにはおすすめの食材といえます。
そこでこの記事では、東洋医学の視点からみたトマトの効能や、からだをあたためる食材との組み合わせ、おすすめ薬膳レシピなどをご紹介します。
この記事を読めば、あなたの毎日の食卓に、トマトを上手に取り入れられるようになるはずです!
1.【東洋医学】トマトの効能とは

トマトは薬膳的にみると、「涼性」に分類されます。
(書籍によっては、「寒」に振り分けているものもあり)
「涼性」とは、からだの余分な熱を冷ます方向にはたらく食材です。
つまり、「トマトはからだを冷やすのでは?」という問いに対する答えは、「YES」です。
ただ、トマトのはたらきはそれだけではありません。
悪いものを排出する作用や、からだの渇きを潤す作用もあります。
さらに、胃腸のはたらきを整えて消化を促し、食欲を増進する効果も期待できます。
東洋医学の分類では、以下のようになっています。
| トマト | |
| 五味 | ・甘:補益(ほえき):足りないものを補ってからだを守るはたらき ・酸:収斂(しゅうれん):過剰なものを抑えるはたらき |
| 五性 | 涼性:からだの熱を冷ます → 寒性と涼性の間・「微寒」に分類されることもある |
| 帰経 | 肝・脾・胃 |
このような性質から、以下のようなときに食べるのがおすすめです。
・熱がある、からだに熱がこもる、のぼせる
・イライラする
・のどや口が渇く
・食欲が出ない
・胃もたれする
・下痢気味 など
2.トマトの栄養素と効能

一方、西洋医学的な視点からみると、トマトには主に以下のような栄養素が含まれていることが知られています。
・β-カロテン:必要に応じてビタミンAに変わり、粘膜を守る
・リコピン:抗酸化作用にすぐれている
・ビタミンC:抗酸化作用がある、コラーゲンをつくる、免疫系のはたらきを整える
・ビタミンE:抗酸化作用がある、免疫機能を高める、血管を広げて血行を促す
・食物繊維:腸内環境を整える、コレステロールの吸収を抑える など
これを見ると、特に目立つのは「抗酸化作用」です。
「抗酸化」とは、からだの中で活性酸素が増えて、細胞が老化するのを防ぐはたらきを指します。
そのためトマトには、お肌のハリが衰えたり、血管が硬くなったり、骨が弱ったりするのを抑える効果が期待できるとされています。
いつまでも健康なからだを保ちたいと考えている方、中でも美容を心掛けている女性には、おすすめの食材と言えるでしょう。
3.薬膳では「食材ごと」ではなく「料理全体のバランス」で効果を考える

となると、こんな疑問がわいてくるでしょう。
「美容と健康のためにはトマトをたくさん食べたいけれど、冷え性のわたしはあまり食べないほうがいいのでは?」
いいえ、そんなことはありません。
冷え性の方でも、どんどんトマトを食べても大丈夫です。
というのも、薬膳では、ひとつの食材だけで効能を判断しません。
料理全体のバランスで考えます。
たとえば、からだを冷やす「涼性」や「寒性」の食材でも、反対にあたためる作用がある「温性」や「熱性」の食材と組み合わせて、熱を加えて調理すれば、トータルで「からだをあたためる食事」になります。
つまりトマトも、組み合わせと調理のしかたによって、からだを冷やすことなく食べられるのです。
4.からだを冷やさずにトマトを食べる方法

では、トマトを食べるときには、どんな食材と組み合わせて、どんな調理をすればいいのでしょうか?
それぞれ具体的に説明します。
4-1.トマトと組み合わせるのにおすすめの食材
まず、トマトでからだを冷やしたくない場合は、前述したように「温性」「熱性」の食材と組み合わせるといいでしょう。
具体的には、以下の表の左の欄にある「温性・熱性」の食材がおすすめです。
真ん中の欄の「平性」食材も、冷やす作用はないので組み合わせても大丈夫です。
| おすすめ「温性・熱性」食材 | 中間の「平性」食材 | からだを冷やす「涼性・寒性」食材 | |
| 肉 | ・鶏肉 ・羊肉 など | ・豚肉 ・牛肉 など | ・鴨肉 ・馬肉 など |
| 魚介 | ・えび ・いわし ・あじ ・さば ・ぶり ・あわび ・赤貝 など | ・鮭 ・いか ・たこ ・かつお ・ひらめ ・うなぎ ・くらげ など | ・あさり ・しじみ ・牡蠣(かき) ・はまぐり ・ほたて ・かに ・うに ・こんぶ など |
| 野菜 | ・たまねぎ ・長ねぎ ・ショウガ ・にんにく ・にら ・かぼちゃ ・ブロッコリー ・かぶ など | ・キャベツ ・白菜 ・じゃがいも ・さつまいも ・にんじん ・山芋 ・とうもろこし ・ゆり根 など | ・トマト ・大根 ・きゅうり ・なす ・ほうれん草 ・れんこん ・ごぼう ・セロリ など |
| 果物 | ・みかん ・桃 ・さくらんぼ ・栗 ・クルミ ・なつめ など | ・ぶどう ・すもも ・落花生 ・銀杏 など | ・りんご ・すいか ・梨 ・バナナ ・レモン ・キウイ ・メロン ・マンゴー など |
| 穀類豆類 | ・もち米 など | ・白米 ・大豆 ・あずき ・そらまめ ・黒豆 ・白いんげん豆 ・豆乳 など | ・小麦 ・大麦 ・そば ・枝豆 ・とうふ など |
| その他 | ・みそ ・酢 ・こしょう ・とうがらし ・黒砂糖 ・大豆油 ・なたね油 など | ・ごま ・はちみつ ・アーモンド など | ・牛乳 ・緑茶 ・コーヒー ・ごま油 ・動物性油脂 ・白砂糖 など |
4-2.トマトを食べるのにおすすめの調理法
からだを冷やさずにトマトを食べるには、やはり加熱するのがおすすめです。
特に、トマトの栄養素の中でも抗酸化作用が強いリコピンは、油と一緒に加熱することで吸収率が上がります。
トマトソースやラタトゥイユ、肉・魚のトマト煮込みなどにするといいでしょう。
ただ、逆にビタミンCは、加熱で減少してしまうので要注意です。
ビタミンCは別の食材で補うか、トマトを生食する際には温性・熱性の食材と一緒に食べてバランスをとるなど工夫してください。
5.【薬膳】からだを冷やさない!トマトのおすすめレシピ

では、わが家で食卓に登場するおすすめのトマトレシピをご紹介しましょう。
先日は、「【夏のだるいに効く、薬膳ラタトゥイユ】 余り野菜がからだの処方箋になる」で簡単につくれるラタトゥイユのレシピをあげました。
今回は、「ひき肉団子とキャベツのトマト鍋」です。
つくり方は以下です。
◎ひき肉団子とキャベツのトマト鍋
【材料】2人分
・キャベツ 1/2玉
・豚ひき肉 300g
・トマト缶 1缶
・たまねぎ 小1個
・卵 1個
・固形ブイヨン 2
・塩 お好みで
・こしょう お好みで
・ローリエ 2枚(なくてもOK)
・水 1000cc
(今回は、下茹でしたじゃがいも・人参も追加しました)
【つくり方】
1)キャベツはざく切り、玉ねぎは粗みじん切りにする
2)ひき肉に1)の玉ねぎ、卵、塩胡椒を加えてしっかり混ぜ、食べやすい大きさに丸める
3)土鍋にキャベツ半量を敷き、その上に肉団子を並べる
4)肉団子のうえから、残りのキャベツをかぶせる
5)ひたひたの水を加えて30分ほど煮る
6)キャベツがくたくたになったら、トマト缶とブイヨンを加えてさらに15分煮込む
7)味見をして、もの足りなければ塩とこしょうで味を調えて完成

当日もおいしいですが、翌日はさらに味がなじんで絶品です。
この鍋の食材と調理法を薬膳的にみると、
・たまねぎ:温性寄り
・ブイヨン:温性
・じっくり加熱
・土鍋で長時間煮込み
と、「温める方向」の要素がしっかりあります。
さらに、キャベツやじゃがいも、にんじんは平性で、胃腸を補い、からだを支える食材です。
つまり、全体としてみると、確実に温める方向に傾いた鍋になっています。
このレシピなら、トマトでからだを冷やす心配は必要ありませんので、秋冬でも安心して食べてください。
まとめ
いかがでしたか?
トマトの性質について、よく理解できたことでしょう。
ではもう一度、内容をおさらいします。
◎トマトは薬膳的には「涼性」=からだの余分な熱を冷ます食材
◎ただし薬膳では、食材一つひとつの性質ではなく、料理全体のバランスで効能をみる
◎トマトは温性・熱性の食材と組み合わせて、油で加熱するとからだを冷やさずに食べられる
◎トマトに含まれる抗酸化物質リコピンは、油とあわせて加熱することで吸収しやすくなる
どう組み合わせるか。
どう調理するか。
その視点を持つだけで、食材は「からだを整えるための素材」になります。
あなたもぜひ、毎日の食養生にこの視点を取り入れてください!
