お子さんが、何度もパチパチとまばたきしたり、首を振り続けたりと、同じ動作を繰り返すことはありませんか?
あるいは、咳払いしたり鼻を鳴らしたり、「あっ、あっ」などと意味のない音や声を出すことはないでしょうか?
「あります!」「前から気になっていました」
という場合、お子さんは「チック」かもしれません。
「チック」とは、本人が無意識のうちに、突然素早い動きや発声をくり返すことを指す言葉です。
まばたきや首を振るなど、動作にあらわれる「運動チック」と、「あっ、あっ」「んっ、んっ」といった声や鼻鳴らしなど、音を出す「音声チック」の2種に大別されます。
子どもの5〜10人にひとりが何らかのチック症状を起こしたことがあるとも言われ、それほど珍しいものではありません。
また、多くの場合は1年以内に症状がおさまるとされています。
(症状が複雑で激しく、1年以上長く続く場合は、「トゥレット症」という診断がつく場合もあります。)
ただ、注意してほしいのは、チックの症状がおさまってもまたぶり返したり、間をあけて別の症状が出たりするということです。
つまり、「チックは形を変えてやってくる」わけです。
そこでこの記事では、チックについての基礎知識と、わたしが子どもの施術現場で感じていることをシェアします。
◎そもそも「チック」とは何?
◎チックの種類
◎チックの原因
◎チックが出やすいとき・出にくいとき
◎チックへの対処法
◎チックの方へ、治療院クリスタがしていること
ひと通り読んでいただければ、もしお子さんにチックが出ても慌てず対応できるようになるでしょう。
この記事で、ぜひチックへの理解を深めてください!
そもそも「チック」とは?

「チック」とは、本人は意識していないのに、突然瞬間的な動きや発声をくり返すことを指します。
たとば、以下のようなものが当てはまります。
・まばたきをパチパチと何度もする
・目をギュッギュッとくり返し閉じる
・ピクピクと顔や口もとをしかめる
・クイックイッと首を振る
・咳払いをくり返す
・何度も鼻を鳴らす
・「あっ、あっ」「ん、ん」など、意味のない声を出す など
子どもの5〜10人にひとりはチックを体験しているとされ、多くの場合は1年以内に症状がおさまるようです。
ただ、いろいろな症状が入れ替わり立ち替わり出現したり、日常生活に支障が出るほど激しかったり、1年以上長く続いたりする場合もあり、そうなると「トゥレット症」と診断される可能性があります。
当院では、長期間続くチックのお子さまはこれまでいらっしゃいませんでした。
だいたい3ヶ月くらいでいったん収まり、なにかのきっかけでそれまでとは違うチック症状が出る、そしてまた収まる……というパターンの方が多いです。
ちなみに、アメリカの人気シンガーソングライター、ビリー・アイリッシュさんも、トゥレット症であることを公表しているそうです。
▶︎ ハーパーズ バザー・オンライン
「ビリー・アイリッシュ、長年抱える『トゥレット症候群』について口を開く『今では私の一部になった』」
チックの種類は4タイプ

チックは、大きく2種にわけられます。
動作にあらわれる「運動チック」と、声などの音を出す「音声チック」です。
さらに、症状が持続する時間が短く、動きや音に意味がないものを「単純性チック(または単純チック)」、やや長めに続いて、動きや音に意味があるように見えるものを「複雑性チック(または複雑チック)」と分類します。
つまり、以下のような4タイプにわけられるわけです。
出典:厚生労働省
「吃音、チック症、読み書き障害、不器用の特性に気づく『チェックリスト』活用マニュアル」
チックの原因は、「厳しいしつけ」ではなく「生まれつきの脳の体質」と考えられる

では、チックはなぜ起こるのでしょうか?
実は、はっきりした原因はまだ解明されていません。
ただ、チックの人には、家族にも同じようにチックが見られる割合が多いことから、遺伝的な要因が関係していると思われます。
以前はチックの原因として、「母親のしつけが厳しく、干渉しすぎだから」とされることがありましたが、現在はそうは言われません。
それよりも、遺伝によって、生まれつきチックになりやすい脳を持っているからではないか、と考えられるようになりました。
脳の「大脳基底核」という部分で、神経伝達物質であるドーパミンに過敏に反応しすぎる体質だと、チックが起こるというのです。
このような遺伝的な要因を持っている子どもが、ストレスなどを受けて発症する、という流れが多いようです。
【大脳基底核】

チックが出やすいとき・出にくいとき

チックは、以下のようなときに出やすいとされています。
【チックが出やすいとき】
・大きな不安や緊張があったとき
・興奮したとき(ネガティブなことだけでなく、楽しい場合も含む)
・疲れたとき
・(女性の場合)月経前 など
また、子どもの場合、学校よりも家庭で起きやすいとも言われます。
これは一説に、学校にいるときは軽く緊張していて、それがチックの出現を抑えているのではないか、とのことです。
リラックスしているときこそチックが出やすい、という人もいます。
逆に、以下のような場合は、比較的出にくいと言えるでしょう。
【チックが出にくいとき】
・何かに集中しているとき
・適度に安定した緊張があるとき
・睡眠中 など
当院にいらっしゃるお子さまを見ていると、
春先や秋口などの運動会シーズンに圧倒的に出やすい気がします。
意外に入学直後などにはあまり目立たず、
しばらく経って、集団行動からのストレスで発症するお子さんが多い印象です。
チックの子どもにどう対応すればいいか?

では、お子さんにチックが出た場合、親御さんはどのような対応をとるのがよいでしょうか?
したほうがいいこと、逆にしてはいけないことを表にまとめましたので、見てください。

大切なのは、気にしすぎないことと「やめなさい」と叱らないことです。
心配しすぎたり叱ったりすると、逆にチックがひどくなることもあります。
ただし、叱らないのはチックについてのことだけで、それ以外の日常生活で悪いことをしたときは、普通に叱って問題ありません。
怒られたことでチックが出るかもしれませんが、それは一時的なものです。
チック自体を悪化させたり、治りが遅くなったりといった影響はないでしょう。
ちなみに、わたしが当院でお子さんをみていて感じるのは、
その子が得意で好きなこと(運動系)を始めると、
チックがさーっと消えていくという印象です。
ぶり返しも少ないと思います。
あとは好きなもの、こころが落ち着くものを手もとにおいておくのもいいですね!
特に、触覚系を刺激するもの(ふわふわのものや、つるつるの生地など)がおすすめです。
そのお子さまにとって、安心安全と感じられる何かを探してみるといいでしょう。
チックが出ているときに、当院でしていること

チックのお子さまが当院にいらっしゃった場合、わたしは以下のような施術、運動指導を行っています。
1)頭部の反射区の刺激
小児はりの一種で、トントンと頭部の反射区を刺激、眼球運動なども組み合わせた施術をします。
チックの症状や程度にあわせて、ストレスを軽減させたり、からだの緊張をゆるめたりすることができます。
痛みはまったくありません。
2)運動
適度な運動は、チックの症状を軽減させるのに有効です。
いちばん手軽なのは「おへそのぞき」。
大人だと腰痛体操の一種になります。
動画を貼ってみましたが、両手は頭の後ろで組んで行うといいでしょう。
同じ動作でも、解釈の仕方でいろいろ幅が広がります。
【腹筋運動④ おへそのぞき/リハビリスタジオRejoy】
なお、現在わたしが学んでいる迷走神経刺激も、チック軽減の糸口になるのでは? と、期待しています。
お子さんのチックが気になる方は、 治療院クリスタにご相談ください! お問い合わせ・ご予約はこちらから |
まとめ
今回は、子どものチックについてお話ししました。
ポイントを以下にまとめます。
◎「チック」とは、本人は意識していないのに、突然瞬間的な動きや発声をくり返すこと
◎チックは動作にあらわれる「運動チック」と、声などの音を出す「音声チック」にわけられる
◎チックの原因は、「厳しいしつけ」ではなく「生まれつきの脳の体質」と考えられる
◎チックは不安や緊張、興奮、疲れなどがあると出やすい
反対に、集中しているときや睡眠中は出にくい
◎チックへの対処としては、
・早寝早起き、適度な運動をさせる
・「やめなさい」と叱ったり責めたりしない
・焦らず見守る など
チックについて理解を深めて、家族でお子さんを見守っていってください!