「風邪をひくと葛根湯をよく飲むけれど、飲み方が正しいかわからない」
「ドラッグストアでいろんな漢方薬を売っているけれど、どんなふうに飲めばいいの?」
漢方薬について、そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
実は漢方薬は、名前によって以下のように飲み分けるとより効果的です。
| 名前 | 例 | おすすめの効果的な飲み方 |
|---|---|---|
| ◯◯湯 | 葛根湯など | お湯にとかして飲む |
| ◯◯散 | 防風通聖散など | 白湯で飲む→お湯にとかさなくてOK |
| ◯◯丸 | 八味地黄丸など | 白湯で飲む→お湯にとかしたり噛んだりしなくてOK |
そこで今回は、「漢方薬の飲み方」について見直していきましょう。
◎漢方薬は形状によって飲み方が異なる
◎「◯◯湯」の効果的な飲み方
◎「◯◯散」の効果的な飲み方
◎「◯◯丸」の効果的な飲み方
◎生薬とエキス剤の違い
最後まで読んで、ぜひ漢方をより効果的に飲めるようになりましょう!
【目次】
1.漢方薬は形状によって飲み方が異なる

漢方薬は、その形状によって以下の4つの種類にわけることができ、それぞれ飲み方が異なります。
まずはその分類から説明しておきましょう。
以下を見てください。
| 分類 | 形状 | 飲み方 |
|---|---|---|
| 生薬 (煎じ薬) | 漢方薬の原料を乾燥など簡単な加工だけしたもの | 煎じて(=煮出して)飲む |
| ◯◯湯 | 煎じ薬の水分を飛ばして顆粒や錠剤にしたもの | お湯にとかして飲む |
| ◯◯散 | 生薬を粉末にしたもの | 白湯で飲む →お湯にとかさなくてOK |
| ◯◯丸 | 生薬を粉末にしてはちみつなどで丸く練り固めたもの | 白湯で飲む →お湯にとかしたり噛んだりしなくてOK |
漢方薬といえば、昔は植物の根や実、動物のからだの一部などを乾燥させたりした「生薬」を、お湯で煮出したり砕いて粉末にしたり、それを練ってかためたりして飲むものでした。
ただ、生薬はかさばる上に、毎回煎じたり砕いたりするのも手間がかかります。
そこで、生薬をまず煎じたうえでその水分を飛ばし、薬効成分のエキスだけを顆粒や錠剤にして飲む方法が生まれました。
これを「エキス剤」と呼んでいます。
現在では、「◯◯湯」「◯◯散」「◯◯丸」という名称でも、顆粒・粉末状のエキス剤になっているものが多くなり、手軽に飲めるようになりました。
2.漢方薬の種類別・効果的な飲み方

ただ、エキス剤だからといって、すべて同じ飲み方でいいというわけではありません。
顆粒や粉末状になっていても、「◯◯湯」「◯◯散」「◯◯丸」という名称によってそれぞれ効果的な飲み方があるのです。
| 名前 | 例 | おすすめの効果的な飲み方 |
|---|---|---|
| ◯◯湯 | 葛根湯など | お湯にとかして飲む |
| ◯◯散 | 防風通聖散など | 白湯で飲む→お湯にとかさなくてOK |
| ◯◯丸 | 八味地黄丸など | 白湯で飲む→お湯にとかさなくてOK |
1章で紹介した、もともとの漢方薬と同じ飲み方ですね。
ではそれぞれについて、もっとくわしく説明しましょう。
2-1.「◯◯湯」の飲み方

「◯◯湯」と名がつくのは、生薬を水からコトコト煎じて煮出した漢方薬です。
「◯◯飲」という名称のものも同様で、漢方薬の中ではもっともよく使用される処方でしょう。
ただ、前述したように現在の日本では、煎じ薬の水分を飛ばして顆粒・粉末状にした「エキス剤」が主流ですので、ここではエキス剤としての「◯◯湯」「◯◯飲」の効果的な飲み方を説明します。
2-1-1.「◯◯湯」エキス剤の効果的な飲み方
エキス剤は、以下のように飲んでください。
1)エキス剤をコップに入れ、20~30mlくらいのお湯を注ぎます。

2)ティースプーンなどでかき混ぜてよくとかします。

3)さらに50ml程の白湯を注いで飲みます。
このとき、味や香りを楽しみながら飲むことができれば、よりよいでしょう。
というのも、味も香りも大事な漢方の薬効成分になるからです。
ちなみに私は、食前にたくさんの量(100mlくらい)のお湯で飲むと満腹になってしまって食事が食べられなくなるので、1)の段階で飲んでいます。
2-1-2.「◯◯湯」エキス剤を飲むタイミング
エキス剤を飲む適切なタイミングには諸説ありますが、一般的には食前や食間が理想とされています。
そのほうが、食後に飲むより吸収がよいためです。
ただ、もし食前や食間に飲めなかった場合は、食後でもかまいません。
タイミングを外してしまったからといって飲まないよりは、1日に必要な量は飲んだほうがいいのです。
2-1-3.代表的な「◯◯湯」エキス剤
この飲み方がおすすめなエキス剤としては、
・葛根湯(かっこんとう):風邪のひき始めに
が代表的でしょう。
またほかにも、
・麻黄湯(まおうとう):風邪のひき始めのさむけや頭痛、関節の痛みに
・乙字湯(おつじとう):便秘や痔で悩んでいるときに
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):不眠やストレスに
などを飲むときにも、お湯にとかして飲むようにしてください。
2-1-4.「◯◯湯」エキス剤でも別の飲み方がおすすめなもの
ただ、「◯◯湯」と名がつくエキス剤でも、別の飲み方のほうがより効果が期待できておすすめなものもあります。
それは「桔梗湯」です。
風邪や乾燥などでのどが痛いとき、腫れているときに処方されます。

この「桔梗湯」は、以下のように飲んでください。
1)50mlほどのぬるま湯を用意し、桔梗湯を入れてよくとかす
2)少量を口に含み、のどでガラガラとうがいをする
3)そのままゴクンと飲む
4)これを数回くり返してすべて飲む
ガラガラとうがいした桔梗湯の液を、最後にしっかり飲むことで、より一層効果が発揮できるタイプの薬です。
やさしい味なので、お子さまでも同じ方法で飲むことができるでしょう。
2-2.「◯◯散」の飲み方
次に、「◯◯散」という名がつく漢方薬です。
これは、本来は生薬を砕いて粉末状にしたものですが、最近は「◯◯湯」と同じくエキス剤の顆粒や粉末にしたり、錠剤にしたりしたものを処方されることが多くなっています。
ただ、効果的な飲み方は「◯◯湯」とは異なりますので、説明しましょう。
2-2-1.「◯◯散」の効果的な飲み方
実は「◯◯散」と名がつく漢方薬には、水での抽出に向いていない成分が入っています。
そのため、煎じて飲むことはありません。
ものによっては、
・あたためたお酒で飲む
・重湯(おもゆ=薄いおかゆのうわずみ液)に入れて飲む
などの飲み方をするものもあります。
ただ、一般的には西洋医学の薬と同じように、
・白湯で飲む
という方法で十分に効果が期待できます。
「◯◯湯」のように、お湯にとかす必要はありません。
2-2-2.「◯◯散」を飲むタイミング
「◯◯散」を飲むタイミングは、それぞれの薬ごとに指定されたときで結構です。
医師や薬剤師の指示や、薬のパッケージに記載された用法にしたがってください。
具体的には、以下の時間が目安です。
・食前:食事の30分くらい前
・食後:食事のあと30分以内
・食間:食後2時間くらいたった空腹時
→食事の途中ではないので要注意!
・就寝前:寝る30分くらい前
2-2-3.代表的な「◯◯散」
「◯◯散」と名がつく漢方薬には、たとえば以下のようなものがあります。
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):肥満、便秘が気になるときに
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え症、貧血、月経不順などに
・加味逍遙散(かみしょうようさん):更年期障害の諸症状に
これらはお湯にとかさず、そのまま白湯で飲んでください。
もし粉薬が飲みにくければ、オブラートに包んだり、服薬専用のゼリーと一緒にのんだりしてもいいでしょう。
2-3.「◯◯丸」の飲み方
最後に、「◯◯丸」についてです。
これは、生薬を粉末にしたもの=「◯◯散」を、水分を飛ばしたはちみつで練り固めたもので、本来は文字通り丸い形をしています。
ただ、これも現在ではエキス剤の顆粒や錠剤になっているものが出ていますので、それぞれの飲み方を説明しましょう。
2-3-1.「◯◯丸」の効果的な飲み方
本来の「丸薬」は、なめたりかんだりして服用することもあります。
たとえばこの写真は、牛黄清心丸を半分にしたものです。

食感は柔らかいキャラメルくらいで、まさになめたりかんだりしやすい硬さにしあがっています。
ただ、このタイプはあまり日本では処方されません。
前述したように、顆粒や錠剤になっているものの場合は、
・白湯で飲む
という一般的な飲み方で大丈夫です。
お湯にとかして飲む必要はありません。
2-3-2.「◯◯丸」を飲むタイミング
「◯◯丸」も「◯◯散」と同様に、それぞれの薬ごとに指定されたタイミングで飲みましょう。
以下の時間を目安にしてください。
・食前:食事の30分くらい前
・食後:食事のあと30分以内
・食間:食後2時間くらいたった空腹時
→食事の途中ではないので要注意!
・就寝前:寝る30分くらい前
2-3-3.代表的な「◯◯丸」
「◯◯丸」と名がつく漢方薬には、たとえば以下のようなものがあります。
・八味地黄丸(はちみじおうがん):頻尿、尿漏れなどの尿トラブルに
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):生理痛、血の道症の悩みに
・麻子仁丸(ましにんがん):便秘で悩んでいるときに
顆粒でも錠剤でも、白湯で飲んで結構です。
もし飲みにくければ、「◯◯散」と同じくオブラートに包んだり服薬ゼリーを用いたりしてみてください。
3.生薬とエキス剤の違い

生薬とエキス剤の違いは、しばしば以下のようにたとえられます。
「生薬を煮出して飲むのがドリップコーヒー」
「エキス剤を溶かして飲むのがインスタントコーヒー」
インスタントコーヒーよりもドリップコーヒーのほうが、味も香りも本格的であるように、エキス剤よりも生薬のほうが有効成分をより多く取り入れることができるのは確かです。
ただ、生薬は煮出したり粉末にしたりする手間がかかりますし、保存にも気を使う必要があります。
その点エキス剤なら、そのまますぐに飲めて保存も持ち運びも簡単です。
また、エキス剤の多くは保険適用されますが、生薬は保険適用外で自費になるものが多く、費用が高額になる恐れもあります。
それぞれのメリット・デメリットを考えて、自分に合ったものを選んでください。
ちなみに生薬について、上海中医薬大学での写真をお見せしましょう!
1枚目は、薬局で薬を受け取る方々です。
左から3番目の男性の足下にあるのが、受け取った生薬です。

2枚目は、生薬を持ち帰る女性です。

ゴミのように見えますが、これが生薬です。
中国では、みなさんこうやって処方された生薬を自宅に持ち帰り、煎じて飲んでいるのです。
エキス剤」がポピュラーな日本では見かけない光景ですよね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょう。
漢方の飲み方がよくわかったかと思います。
あらためてまとめると、
| 名前 | 例 | おすすめの効果的な飲み方 |
|---|---|---|
| ◯◯湯 | 葛根湯など | お湯にとかして飲む ※「桔梗湯」はうがいをして飲む |
| ◯◯散 | 防風通聖散など | 白湯で飲む→お湯にとかさなくてOK |
| ◯◯丸 | 八味地黄丸など | 白湯で飲む→お湯にとかしたり噛んだりしなくてOK |
これを覚えて、ぜひ漢方薬をより効果的に飲んでください!
