「何者かになりたい病」の人へ|「自分の本当の願い」を見つめなおそう

最近思っていることがあります。
それは、「何者かになりたい病」についてです。

なぜだかよくわからないけれど、
「今のままじゃだめだ!」
「何者かにならねば!」
そんな心もちに潰されそうになっている方はいませんか?

この記事は、そんなあなたへ向けて書きました。
お伝えしたいのはこんなことです。

◎加藤 諦三さんのことば「変えられないことはそのまま受け入れましょう」の意味とは
◎「何者かになりたい」けどなれない、その苦しみは「感情の世代間連鎖」のせいかも
◎「何者かになりたい」と焦らず、「自分自身の人生」を歩む決意を持とう

少し長いですが、ぜひ最後まで読んでください。
そうすれば、あなたを苦しめている本当の原因に気づき、こころの重荷を軽くできるヒントが見つかるでしょう。

「何者かになりたい病」が蔓延する今こそ、「ありのままの自分」に向き合おう

あなたはこの言葉を耳にしたことがありますか?

変えられることは、変える努力をしましょう。

変えられないことは、そのまま受け入れましょう。

起きてしまったことを嘆いているよりも、これからできることをみんなで一緒に考えましょう。

作家・社会心理学者で早稲田大学 名誉教授、ラジオ番組『テレフォン人生相談』パーソナリティーとしても知られる加藤 諦三さんの言葉です。

Xで見かけて、「ほんとそれなっ」と思いました。

「変えられないことは受け入れる」

これができなくて苦しむ方が多い。
何者かになりたい、今のままではだめだ症候群に陥っている方はたくさんいます。
あなたはあなたであって、他のだれでもないのに。

何者かになりたい病が蔓延している今だからこそ、冒頭の加藤先生のことばの意味を、しっかりかみしめておきたいなと思うのです。

「何者かになりたい」と焦るのは、「家族の課題を代わりに解決しようとしている」からかも

自分自身に対して、
「このままの自分でいい」
「ありのままでいい」
と心の底から思えている人は、どのくらいいるでしょう。

正直わたしも、心底そう思えているのか? と問われたら、
猫を飼いだしてやっと思えるようになりました。

「存在しているだけで尊い」と。

一方で、多くの人が「○○さんみたいになりたい」とか「●●になりたい」とか、
今の自分ではない何かへの憧れ
を抱きますが、それは全然悪いことではなく、
前にすすむエネルギー源にもなりますね。

ただそれが行き過ぎると……

「なんで自分はこうなんだ」
「どうせ自分はダメだ」

などの焦りや焦燥感に苛まれたりするのではないでしょうか。
自分で自分を痛めつけるという、不思議な図式がみえてきます。

どうしてそんなことが起こるのでしょうか?
いくつか原因があるので、順にお話していこうと思います。

自己啓発の本やスピリチュアルの本には、よく、こう書いてあります。

「ありのままでいいんだよ」
「今の自分を認めよう」
「そのままで価値があるよ」

なるほど、「そうか、今のままでいいんだ」と思っても、ホッとできるのは一瞬だけ。

やっぱり、
・何かしなくてはならない気がする
・今のままではダメだ

こんな思考に戻ってしまうのだとしたら、そこにはある原因がひそんでいるかもしれません。

ひとつには、ひとりでは生きられない幼少期に不安な環境に置かれていた場合など、
幼少期の心の傷や自己肯定感の欠如などが理由になることもあるでしょう。

そういう場合は、幼少期の自分をケアする方法を模索すればいいのですが、
それだけでは解消しない場合もあります。

・何をやっても達成感が得られない
・とりつかれたようにストイックに、何かを成し遂げたくなる
・ただただ、何をしていても不安

こうした場合、目指している「ゴール」は、自分の人生に必要なものではなく、
「家族の誰かの課題を代わりに解決しようとしている」
ということもあります。

え? なに? どういうこと?
って思いますよね。

これから説明していきますので、もう少し読み進めてください。

「別の誰かの願望を代わりに実現する」ことでは、自分自身の達成感は得られない

わかりやすい例を出してみます。

たとえば、あなたの母親が閉鎖的な地方育ちで大学にも行かせてもらえず、
やりたいことがあったのに何もできずに専業主婦になったとします。

ずっと、あなたの前で、「本当はやりたいことがあったのに」と思っていたとしたら、敏感な子どもは母親の気持ちを感じ取って、代わりに成し遂げようとしたりすることがあるのです。

これは、あなた自身が幼少期に見てきた母親の代理人として、母親の願いを叶えようとしていると言えます。

ある意味、「別の人間の身代わりとして人生を生きている」とも言えるでしょう。

成し遂げたかったことは「あなた自身の願望」ではなく、「別の人の願望」だから、いくら成し遂げても達成感を持てなくてあたりまえです。

もっともっと!
今のままではダメだ!そんな気持ちに追い立てられて当然なのです。

だってそれは、
「感情の世代間連鎖」が起きているからです。

無意識のうちに「感情の世代間連鎖」にとらわれていませんか?

「感情の世代間連鎖」とはどういうことでしょうか?
もっと具体例をあげてご説明しますね。

ちなみに…
これからお話する内容は、ちょっと不思議ともいえる話題になります。

「DNAの記憶」とか、
(このワード鬼滅の刃でもでてきましたね!)
「身体の記憶」とか、

こうしたワードが苦手な方もいらっしゃると思いますが、お付き合いください。
スピリチュアルなお話しではありません。

肉体は感情を記憶します。
その連鎖が世代間で生じているとしたら……。

これからお話するのは、そんな内容です。

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
著:ベッセル・ヴァン・デア・コーク、訳:柴田裕之、解説:杉山登志郎/紀伊國屋書店/4,180円(税込)

身体に閉じ込められたトラウマ:ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア
著:ピーター・A・ラヴィーン、訳:池島良子・西村もゆ子・福井義一・牧野有可里/星和書店/3,850 円(税込)

たとえば、戦争について考えてみてください。
ご自身はまったく体験していなくても、家族や知り合いの中には誰かしら戦争経験者がいるはずです。

私ごとですが、
うちの祖父は、随分と年齢がいってから戦地にかりだされました。
無事生還しましたが、一切戦地での話をすることはありませんでした。

そんな祖父のたたずまいからは、彼がどれほどおぞましい経験をしたのかということが伝わってきました。
これは聞いてはいけないことだな、と。

そう、子どもは家族の心情を吸い取り紙のように感じ取る傾向があります。

もしあなたに、戦争から帰ってこなかった祖父を待ち続けた祖母がいたとしたら、あなたは、幼少期からなぜか「いつも誰かを探している」という感覚を持つかもしれません。

大人になって出会った素敵な人を、「この人だ!」と思って恋に落ちても、
すぐに「なんか違う」と思ってしまい、人生のパートナーが見つけられない……
ということにぶつかることがあります。

それは、「祖父」を祖母の元に戻したいと願い、
祖父が存在しないあなたの時代で、知らぬ間に祖父を探しているからだったりします。
(あくまで、潜在意識の話です。)

なぜこのようなことになるのかというと、
「祖父が生きていたら、ちゃんと帰ってきてくれていたら、
祖母は悲しまず、母はもっと幸せに生きられたのに」という、
やはり、母親を救いたい子どもの願いであったりします。

あるいは、
朝は元気に出かけていった祖父が、その夜に帰らぬ姿で帰宅したとしたら、
あなたの祖母も母親も、突然の耐えがたい喪失感を味わうでしょう。

そうした経験のある母の気持ちを察して、
「何か悪いことが起きないように」
「何か悪いことが起きるのではないか?」
と、
あなたはいつも何かに警戒し、人生の中で起きるトラブルを未然に防ごうと、
必要以上に用心深くなるかもしれません。

あなたの母親が幼少期にとても貧しく、苦しい思いをしていた場合、
必要であったであろうお金をたくさん稼ごうと奔走し、
必死にお金を蓄え母を喜ばせたとします。

ここまでだとHappyなこと。

ところが、たまに不思議なことが起きます。

その蓄えたお金を、母の幼少期に捧げようとしたり、
「自分は貧困で苦しんだ母親よりも幸せになってはならない」と感じたりして、
自ら散財したり、騙されて失ったりする
……。

これが「感情の世代間連鎖」です。
そのせいで、人はゆがんだ行動に走る場合も多々あるのです。

これらはほんの一例ですが、こういったケースの場合は常に、本人は何者かになろうとしたり、何かを解決したりしようとし、でも本当になりたいものや解決したいことが何なのかを本人が把握していません。

そして、もう気がつかれたかと思いますが、
この「課題」は、絶対に解決しないのです。

今現在自分がいる場所で、
周囲にいる人に自分の家族の誰かのお面をかぶせて接し、
時空を超えて祖父母やさらにその上の世代のできごとを変えようと奔走しているのですから、当然ですよね。

絶対に叶わないけれど、絶対に成し遂げなくてはならない。
でもどれだけがんばっても、代理の人を救おうとしても、本当に救いたかった人は救えません。

だって、あなたは当事者ではないのですから。

だから、失敗し続けます。

「どれだけやっても、変わらない」
「何をやってもダメになる」
「なんでいつも自分はこうなんだろう」

そう、永遠に、どうしても解消しないことを抱えているという不安が続くのです。

わたしはセッションを通して、こうした事例を多くみてきました。
家族間の気持ちのエネルギーバランスは侮れません。

「何者かになりたい」と焦らず、「自分自身の人生」を歩む決意を持とう

家族間の感情連鎖によって、
あなたが知らないうちにしょってしまった苦しみがある
ということ。
あなた自身が生をうけてからの問題ではない場合もあるということ。

そんなお話でした。

まったく身に覚えのないうちに、
ネガティブな行動パターン、人間関係で陥りがちなパターンにはまって、
抜け出せず、不安なまま人生を送ってしまう。

原因を探ろうにも、自分がうまれてからの問題でもなく、意識の中にはなく、
あくまで潜在意識の話なので、本人はこの本当の理由に気づけません。

やっかいですよね……。
(ほんと知らんがな!って思う)

では、これらの家族間に潜む課題を、
「あなた」から荷下ろしするにはどうしたらよいのか。

気になりますね。
なんだか難しそうですね……。

いや、実はそうでもないのです。

「あれ?この気持ちどう考えてもわたしのじゃないですよね」
と、ご自身が気づくことから始まります。
そしてその感情を、本来の持ち主であろう人にお返しします。
その上で、あらためて「自分自身の人生」を歩むと決めていただく。

こんな流れになります。
(わたしの個人セッションでは、ここまでワークを通してサポートさせていただきます。)

こうすることで、あなたの「視座」が変わっていきます。
過去の人、自分以外の人目線だったあなたが、
やっと、本来自分が立つべき「今」に立っているからです。

ありのままの今の自分で生きていることを実感しながら、人と交流し、
自分の人生を自分の人生として体験するとき、
どんな課題が目の前にあっても、人は軽々と乗り越えることができるようになります。

だってそれは、あなた自身の課題だから。

「どうやっても絶対に解決することができない、家族の誰かの課題」ではなくなり、
「あなたに解決することができる、あなた自身の課題」になっている
からです。

自分で解決できる課題は、よくも悪くも結論が出せる。

だから、あなたにとって意味の無い焦燥や意味の無い不安という感情がいなくなります。
そして、「安心」という感情を自然と手に入れることができるのです。

「何者かになりたい病」を抱えている一定数の方に必要なことは、
今おかれている環境を変えることでもなく、
足りないお金をどうするかなどの目の前の課題ではなく、
もっと奥深くにある、「本当の理由」について掘り下げていくことだと感じています。


「何者かになりたいけどうまくいかない」など、生きづらさを感じているあなたに
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現世過去世未来から 生きづらさの原因を探す個別セッション

日本橋に鍼灸院治療室を開業して22年。
長くからだのケアに携わってきた経験をいかし、
肉体的なレベルと魂的なレベルでの調整を行っています。
さまざまなお悩みに合わせて、幅広い知識と経験から
日常生活で無理なく取り入られるケア方法をお伝えします!



<こんな方にもおすすめです>

 ・なぜか同じタイプの人に敵対視されがち
・いつも漠然とした不安を感じている
・仕事が長続きしない
・結婚したいのにできない
・依存体質をなんとかしたい
・お金が貯まらない
・自分のことが嫌いでしかたない
・親との関係性が悪い
・夫との関係性が悪い
・なぜかお金を貢いでしまう
・人と話すのが怖い
・自分の子どものことが嫌い
・衝動的にものを壊したくなる
・怒りが突然わいてきて収まらない
・アルコールで失敗する
・ダメな男にばかり惹かれてしまう
  など

具体的なセッションの流れ・費用など詳細は、こちらをご覧ください。


【体験談】クライアント・A様の<戦死した祖父が見たかったもの>

最後に、以前セッションを受けてくださった方のブログから、
まさに視座が変わった体験談
をご紹介します。

昨年セッションを受けてくださったクライアント様で、以下のようなコメントもいただきました。

その後、実際に体験されたできごとをブログで公開なさったのですが、
それが本当にこころに響く内容なので、ご本人のご了承を得て、抜粋せずに全文掲載させていただきます。


<戦死した祖父が見たかったもの>

一年前の今日の午後、戦死した祖父が生前野良仕事に励んでいた畑で、前方に見える江戸川の土手の斜面を時折ぼーっと眺めつつ雑草取りをしていた。
37度を超える猛暑日で周りには誰もいない。
黙々と手を動かしていたら左斜め後ろから「変わらないなぁ」と聞き覚えのない男性の声がした。
大らかで吞気そうな声だった。
思わず「何が?」と聞き返して振り向いたがもちろん誰もいない。
「???」また黙々と手を動かしていたら、急に祖父母や曾祖母が畑で水筒やおにぎりを出して休憩している光景が頭に浮かんできた。それでようやくさっきの吞気そうな声は祖父だったんだと気が付いた。

おそらく祖父は故郷を思い出しながら船ごとフィリピン近海に沈んでいったと思う。遺骨も戻らず骨壺にはひとつまみの砂のみ入れられたと聞いている。
祖父は私の眼を通してずっと見たかった懐かしい故郷を見たんだろう。生前見ていた風景とは大分変わってしまっていただろう。でも家と家の間から見える江戸川の土手の斜面は自分が生きている時に見ていたものと変わりなくて、うれしくなって思わず「変わらないなぁ」って言葉が出たんだろうなって思う。

この不思議な出来事で私は祖父の願いを叶えてあげたような、使命を果たしたような気持ちになった。
義理の祖父(実の祖父の末弟)が気難しい人だったので実の祖父も気難しかったんだろうなって思ってたけど、あの声聞く限り割とのんびりした人だったんじゃないかと思う。

じいちゃん、顔見たかったな(写真が一枚もなかった)
もし来世というものがあるのなら今度こそ会いましょう、そして江戸川の土手を一緒に歩きましょう

昨年の今頃、
「こうした体験をしました!」とご本人からお知らせいただいていましたが、
改めて文章を読んで、
まるでその場にいるかのようにありありと光景が目に浮かんできました。

おもわず泣いてしまった。

おじいさまがみた景色に近いであろう風景
一生懸命さがしたんですが….(いまひとつ)

江戸川土手の写真です。

クライアント様ご本人のブログはこちらです。

▶︎ 戦死した祖父が見たかったもの

まとめ

今回は、「何者かになりたい」ともがいているあなたに向けたお話でした。
最後にもう一度、心に留めておいてほしいことをお伝えします。

◎「何者かになりたい」と焦るのは、「家族の課題を代わりに解決しようとしている」からかもしれません
◎「別の誰かの願望を代わりに実現する」ことでは、自分自身の達成感は得られません
◎「何者かになりたい」と焦らず、「自分自身の人生」を歩む決意を持ちましょう

この記事を読んで、あなたがこころの荷物を少しでも軽くできたならうれしいです。