更年期の症状はさまざまです。
中でも泌尿器や女性器について、
「デリケートゾーンがかゆい」
「歩くだけでもデリケートゾーンに痛みを感じる」
「おしっこが出にくい、出そうとするとしみてヒリヒリする」
そんな症状に悩んでいる人は多いでしょう。
これらの主な原因のひとつは、更年期には「ドライ」になりがちなことです。
からだが乾燥して潤い不足になると、粘膜が弱ってきます。
粘膜系のトラブルから、デリケートゾーンの痛み、かゆみ、排尿困難といったさまざまな症状が起こるのです。
そうなった場合は、以下のような対処が必要でしょう。
・からだを潤す食材をとる
・デリケートゾーンも保湿する
・婦人科の治療を受ける:ホルモン補充療法、塗り薬など
・東洋医学の治療を受ける:漢方薬や鍼灸
そこでこの記事では、更年期のデリケートゾーンのお悩みについて、わかりやすく説明します。
◎更年期のデリケートゾーンに痛み・かゆみ・排尿困難が起こる理由
◎更年期にデリケートゾーンに痛み・かゆみ・排尿困難が生じた場合の対処法
最後まで読めば、なかなか人に相談しづらかったお悩みの解決法が見つかるでしょう。
この記事で、痛みやつらさから解放されてください!
更年期のデリケートゾーンに痛み・かゆみ・排尿困難が起こる理由

更年期にデリケートゾーンが痛くなったりかゆくなったり、おしっこが出にくくなったりする理由は、「女性ホルモン・エストロゲンが減少することで、デリケートゾーンの潤いが不足して乾燥するから」です。
女性ホルモンであるエストロゲンには、膣の粘膜を厚くして潤いを保つ役割がありますが、更年期になるとその分泌量は急速に減ってしまいます。
出典:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成30年版」
エストロゲンが減少すると、膣の粘膜が薄くなって乾燥してしまいます。
そのため、
・乾燥によるかゆみが出る
・粘膜が薄くなることで傷つきやすくなり、擦れると痛みを感じる
・悪い菌が増えやすくなり、炎症や感染症のリスクが高まる
・痛みや炎症などのせいで、排尿がしづらくなる
などさまざまな不快感や症状が生じるのです。
【事例・粘膜の癒着による排尿困難】 わたしのもとに寄せられた相談の中から、事例をひとつご紹介しましょう。 あるとき、Aさんからこんな電話がかかってきました。 「ようこ先生、おしっこがちゃんと出なくなってくるしいです……何かいいツボはありませんか? 病院には行ったほうがいいですか?」 そこで、「まず下腹部を押して、膀胱を圧迫してみてください。沁みて痛いですか?」と確認すると、 「痛いです、出したいけれど痛すぎて出せません。このままだと、膀胱が破裂しそうです」 というお返事。 どうやら膀胱炎の痛みではなく、尿が陰部に沁みて、出したいのにひっこんでしまう、という状態のようでした。 そこで、「すぐに婦人科行って、尿を出してもらって!」と指示しました。 電話を切った後、Aさんはすぐに婦人科にかけこんで「導尿」してもらったそうです。 ※導尿:膀胱からカテーテルを挿入し、人工的に尿を外に出すこと このトラブルの原因は、陰部に癒着が起きたための排尿困難でした。 Aさんはもともと排尿するときに「ちょっと陰部が痛いな、沁みるな……」と感じていたのですが、そのまま放置してしまっていたため、悪化して癒着したのです。 更年期のエストロゲン減少によるデリケートゾーンの痛み・かゆみは、早めに対処しないとこのような癒着を引き起こすこともありますので注意してください。 |
更年期にデリケートゾーンに痛み・かゆみ・排尿困難が生じた場合の対処法

では、実際に痛みやかゆみなどの違和感、不快感を感じたら、どう対処すればいいでしょうか?
東洋医学的には、以下のような対処法をおすすめします。
・からだを潤す食材をとる
・デリケートゾーンも保湿する
・婦人科の治療を受ける:ホルモン補充療法、塗り薬など
・東洋医学の治療を受ける:漢方薬や鍼灸
1)からだを潤す食材をとる
まず、日常的に簡単にできるのは、食生活の改善です。
特に、からだに潤いをもたらす食材は、積極的に取り入れましょう。
東洋医学では、からだを潤すのは「白い食材」とされています。
たとえば以下のようなものです。
・レンコン
・山芋
・大根
・白ごま
・白きくらげ
・ナシ
・豆腐、豆乳 など
わたしが特におすすめしたいのは、「白きくらげ」です!
その効能や、手軽においしく食べられる「白きくらげのシロップ煮」のレシピをご紹介している記事もありますので、ぜひ読んで食生活に取り入れてみてください。
2)デリケートゾーンも保湿する
もうひとつ、日常的に行ってほしいのは、デリケートゾーンの保湿です。
顔や手足などの保湿に気を遣っている女性は多いですが、デリケートゾーンは見落としがちでしょう。その意識を変えて、「デリケートゾーンも顔と同じ」と思って保湿を心がけてください。
具体的には以下のようにしましょう。
・低刺激制のソープを使って手でやさしく洗う
→刺激や香りの強いソープ、ゴシゴシタオルやスポンジなどを使って洗うと、皮膚や粘膜を傷つけて、よけいに痛みやかゆみの原因になってしまうので避けてください。
・デリケートゾーン用の保湿剤を塗る
→一般的なお肌用の保湿剤ではなく、デリケートゾーン専用の保湿剤が市販されていますので、洗ったあとはすぐにそれを塗りましょう。
くれぐれも、刺激は最低限におさえて洗浄・保湿することが重要です。
3)婦人科の治療を受ける:ホルモン補充療法、塗り薬など
痛みやかゆみが気になってきたら、婦人科の診察を受けましょう。
というのも、単なる乾燥だけではなく、粘膜が薄くなったことで炎症が起きていたり、悪い菌に感染していたりする恐れがあるためです。
その場合、必要な薬を処方してくれるでしょう。
また、更年期症状そのものの治療として、ホルモン補充療法を受けるのも効果が期待できます。
減少した女性ホルモンを薬で補うことができるので、膣の粘膜に潤いがもどり、痛みやかゆみがおさえられる可能性があるのです。
ホルモン補充療法の効果がどの程度出るかは個人差が大きいので、医師に相談しながら治療を進めるといいでしょう。
4)東洋医学の治療を受ける:漢方薬や鍼灸
もちろん東洋医学でも、更年期障害をやわらげるためのさまざまな対処が可能です。
漢方医に相談すれば、その人に合った漢方薬を出してくれます。
また鍼灸院でも、症状に合わせてはり・お灸による治療が受けられます。
たとえばデリケートゾーンのかゆみには、「蠡溝(れいこう)」というツボが有効とされています。
【蠡溝(れいこう)】
内側のくるぶしから指の太さ7本分上、すねの骨の内側のへこんだ部分にあるツボ。
親指でゆっくり3〜5秒ほど押す。これを3回繰り返す。
自分でしてみるのもいいですが、更年期の体調や症状は人によって本当にまちまちですので、まずは一度専門家に相談してください。
当サイト・ラクニナや鍼灸治療室クリスタでは、かとうようこが直接お話を聞き、あなたに合った対処法や治療をおすすめします。
お悩みの方はぜひ一度お問い合わせください!
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まとめ・【デリケートゾーンケア】の認識をちょっと変えて、今日からケアをはじめよう
粘膜や筋肉に柔軟性がなくなる……
そこでおきるトラブルは、性的なことばかり強調されていますが、それだけでなく、
【排尿困難】
【排便困難】
などを引き起こす可能性もあるのです。
デリケートゾーンケアの話をすると、「わたしは関係ないもん!」と明るく拒絶されたりすることがあります。
ですが、女性器や泌尿器のトラブルの話をすると、皆さん真顔になり、めちゃくちゃ納得していただけます。
潤うって、からだにも心にもものすごく大事なこと。
そして、自分自身が苦痛にならないように、先手をうつことも大切です。
いつからでも遅くない、気がついたときからケアをはじめましょう。